ネタバレあり!
ララランドの考察とレビューを書いていこうと思います!!
以前セッションの記事で書いた時にも述べましたが、人生での3つの映画決まりました。セッション、ララランド、ファイトクラブですね。
『La La Land(ラ・ラ・ランド)』
いやぁセッション大好きなのでアカデミーをこれ程までにノミネートされる作品を作ってくれたことは本当嬉しいです!!
✨第89回 #アカデミー賞® 最多6部門受賞✨
監督賞、主演女優賞(エマ・ストーン)、撮影賞、美術賞、作曲賞、主題歌賞(City of Stars)の6部門受賞!32歳のデイミアン・チャゼル監督は、85年間破られていなかった記録を更新しての史上最年少受賞です🎊 #ララランド pic.twitter.com/158W4gqEXQ— 映画「ラ・ラ・ランド」公式 (@lalaland0224) 2017年2月27日
まずはアカデミー賞「主演女優賞、監督賞、歌曲賞、作曲賞、撮影賞、美術賞」受賞おめでとうございます!!作品賞は残念でしたが素晴らしい評価を受けている作品であることは間違いないです。ライバルの『ムーンライト』も早く観たいですね。
個人的にはLa La Landは3部構成と感じたので、本記事ではそれに沿って書いていきます!
第一部
舞台はロサンゼルスの冬の高速道路。
ここでお見事と思ったのは古臭い映像から入り、そこから大渋滞の高速道路のシーンに変わって以下の曲をみんなで歌うとこですね。
ほんといきなりですが、ああ、こういうバリバリなミュージカル映画なのかと観客に提示することで、簡単に引き込めることですね。いやぁ圧巻でした。この曲いいですねえ。豪華で明るくて元気が出ます。
歌が終わると主人公エマ・ストーン演じるミア登場。ミアは売れない女優。恐らくろくな出演作もない女優でしょう。ロサンゼルスが舞台ということは女優を夢見て上京し、オーディションに落ちまくる生活を送っていることは簡単に分かりました。
彼女の登場時に流れた音楽もまたいいですね~ノレるリズム刻んでいて最近いつも聞いてますね(笑)
ライアン・ゴズリング演じるセブは偉大なジャズピアニストになることを夢見る人物。しかしもはやジャズは時代遅れであり、聞くのは年配者ばかりという現実といまいち向き合えず、ジャズをおざなりに扱う世間への不満をこぼしてばかりいる。
彼は登場時、レストランの雇われピアニストをしていた。
そんな彼のレストランでの演奏は素晴らしい...のだが、レストランの依頼した曲以外を演奏してしまったためクビになってしまう。
それによってセブは唯一この演奏を聴いてくれていたミアに対して無礼な態度をとる。
ジャズ出ましたね。この監督さんは前作『セッション』同様本当にジャズが好きということが分かりますね。しかもこのレストランの店主、『セッション』で先生演じられたJ.K.シモンズではないですか!!!
『セッション』の縁あってかまた出演したみたいです。特に大きな役ではないですが、存在感は抜群だし、『セッション』を知っている方なら思わず喜ぶ小ネタを仕掛けてくれて嬉しいですね。作品を大事にしているんだなと伝わってきます。
『La La Land』はロサンゼルスの冬から始まって春、夏、秋と物語が進んでいきましたね。
自分も春あたりからこの作品は秋で終わるのかなと予感しました。
本作品ではエマとセブの出会いは最悪でしたが、偶然も重なって打ち解けた二人の会話は以下の音楽にのせて繰り広げられます。
ここでこの決めポーズが出るんですね!自分的にはもっと後かと思いました!
この歌と歌詞と踊りが情熱的で心躍り、あ!この二人ぴったりじゃんと思うのですがミアには恋人がいるという衝撃の事実…どうなってしまうのでしょうね…
ネタバレしちゃうと自分の気持ちに素直になって恋人と別れたミアは、セブと熱いキスを交わしますね。
ここまでが第一部ですね。
ミアにだんだんと心惹かれていくセブの表情が本当に優しくて泣けますね。
ミアのことを本当に愛していていとおしくて仕方ないということをセリフではなく目で語る凄さ。尊敬します。心に響きますね。
更に!!
全編通してなのですが、広角レンズを使用してますね!それによって狭い空間も広く見せ、更にのぞき穴から映画の世界を覗き込んでいるかのような感覚に陥ります
今回も撮影賞を受賞していることから作品をさらなる高みへと昇華させたことは明白ですね。
第二部
夏。
ミアは自分の脚本で一人芝居をする準備で大忙し。
セブは自分の店をかまえる為、店名などを模索中。
お互いに夢を応援しながら同棲する二人は幸せの絶頂であった。
グリフォス天文台でのキスから二人は付き合い始めましたね。しかもかなりいい感じ。ロサンゼルスをデートする二人は幸せそうでした。
セブがミアを迎えに来るときはいつもクラクションをず~っと鳴らすのも良かったですね。まさか伏線になるとは…
しかしセブは安定した職に就いていないことをミアの母親に指摘される。ミア自身は気にしていないようだがセブは違った。そこでセブは学生時代にバンドを組んだジョン・レジェンド演じるキースに持ち掛けられたバンドに加わることを決める。
キースのバンドはジャズバンドであるのだが、実際は若者向けに改良を加えたジャズの伝統完全無視のものだった。セブは生活のためには仕方ないと腹をくくり、しぶしぶ演奏をする毎日を送るようになる。
生活、つまりミアの為に夢を変えたセブを非難することはできませんね。この”変化”が二人の関係にどのような影響を及ぼすのか気になりますね。
秋。
セブのバンドは大成功であった。全米各地で公演を行うセブは家にいることが少なくなっていった。ミアの方も内心バンドが大成功するとは思っておらず、更にこのバンド活動は店を開店する資金集めの為だと思っていた。久しぶりの家でのディナーの席にて「あと何週間バンド活動するの?」と質問するミア。セブは「何年かも」と答える。それがきっかけで大喧嘩してしまう二人。結局ミアは家を出ていくのだった。
ミアの一人芝居当日。会場には10人程しか集まっておらず、しかもセブはバンドの撮影で会場にはいなかった。やっと芝居を終えて楽屋に戻るミア。遠くから「ひどい芝居だった」と聞こえついにミアは夢をあきらめる。劇場から感情的になっているミアが帰ろうとすると、自分の過ちに気づいたセブがいた。
しかし今のミアには何を言っても意味はなく、地元に帰るから別れましょうと一方的に言い、車で去ってしまうのであった。
ミアもセブを愛してるが故に、夢を変え、嫌いな音楽をしてでも尽くしてくれるセブに我慢できなかったのでしょうね。普通のカップルとは違うところがありまして、それは二人とも芸術家であるということですね。ですから自分の好きなものを作ったり表現するのが至高であると考えているので、ミアは余計にセブに申し訳なかったのでしょう。一方でセブもミアを愛してるからというこの矛盾というかヤマアラシのジレンマというか、、、ほんと悲しい。
ジャズが嫌いだったミアがセブのおかげで好きになったという部分も良かったのに…
芝居の感想も傷ついたでしょうね。この心無い「ひどい芝居だった」という感想が、彼女には今までの人生を全否定される言葉に感じられたのでしょう。彼女の好きな物や経験などすべて詰め込んだ今回の芝居ですからね。そういう経験は自分もあるので見ていていたたまれなくなりました。
さらにこの時の二人のやり取り。
そう。
レストランでの二人の出会いと対比されていると思いますね。いやぁいいなあ。完成度高いなあ。
いよいよクライマックスですね。
第三部
数日後、セブの携帯にミア宛ての電話がかかってくる。
用件はなんとミアの一人芝居に感銘を受けた配役事務所からのオファーの電話であった。
一方でミアは実家にいた。女優の夢をあきらめ大学へ復学し、弁護士の道を進もうかと悩んでいると外から常軌を逸した長さのクラクションが聞こえる。そう。セブであった。
セブからオファーのことを聞くミアであったが自分の夢は終わったのだと拒絶する。しかしセブは夜の住宅地にもかかわらず大声でミアを鼓舞し、明日迎えに来ると断言する。
翌日セブが訪れるとミアの姿はなかった。セブが帰ろうとしたその時、ミアが現れる。コーヒーを買っていたのだ。
オーディション会場へ着くとプロデューサーに自由演技をしてくれと言われるミア。
オーディションが終わった。
グリフォス天文台に移動する二人
映画の撮影が始まったら二人は物理的にも会えなくなるので関係は保留にし、流れに任せることを決める。
「いつまでも愛してるわ」
思いを告げるミア
少し恥ずかしかったのか
ミア「この景色はそこまでよくないわね」
とグリフォス天文台を見上げる景色のことを言う
セブ「そのとおりだね」
ここで二人は一度別れる。
五年後の冬。
ミアは大女優になり裕福な家庭も持っていた。夫はセブではなかったが幸せであった。
ミアは夫と夜の街を歩く。
素敵な店を見つけたので入ってみると店の名前は「Seb’s
ある予感を抱いたまま奥へ進むとそこにはセブの姿があった。そう。セブは自分の店でジャズを好きなだけ演奏する夢をかなえていたのだ。
ミアの姿を見つけたセブは二人の思い出の曲を演奏する。
ピアノの音色はいつの間にか壮大なオーケストラへと変わっていた。
映し出される映像も二人が結婚していたら、というものへとなっていく。
演奏が終わるとミアは夫と共に店を後にする。
その時一瞬だけミアとセブの目が合った。
そうして物語は終わる。
はあ。切ない。
喧嘩別れした時はそうなるのかと思いましたがまさかオファーが来るとは。
あの自分を目一杯表現するミアにプロデューサーも惹かれたのですね。
個人的に重要視したいのは、価値観というものは変わるということですね。ミアはあるお客さんはひどい演技と評しましたが、プロデューサーは違ったと。
ここに演技にあまり詳しくないお客さんと専門家であるプロデューサーの対比があって、物事というのは学ぶほど見えてくるものは変わってくるんだよという監督からのメッセージがあるのかなと勝手に解釈しちゃったりしますね(笑)本映画もうわべでは悲しいラブストーリーですが、一方で芸術家とは、や過去への回帰などのメッセージ性も読み取れるような気がします。人生経験の積まれた年配の方と若者ではこの映画の印象もかなり変わってくるはずです。
更にミアはうまくいっていなかったですが、プロデューサーのおかげでチャンスをつかむことが出来ました。この部分は今頑張っているけどもなかなか恵まれない芸術家たちへの監督なりのフォローに感じられますね。
セブのミアへの鼓舞も良かったです。熱い!熱いよセブ!!見直したぜ!!!
車のクラクションであそこまで喜べるなんて思ってなかったぜ!!!
オーディションのシーンも良かったですね~
もう一回見て詳しく書きたいです。
さて、グリフォス天文台
ここですね。
二人の正直な気持ちを伝えあっていました。
ミアの目も愛おしくセブを見ていてぐっと来ましたね。
しかしここにこの映画の伝えたいことの一つがあるような気がします。
それはミアのグリフォス天文台を見上げる景色はそこまで綺麗じゃない云々の箇所です。
つまり現実は上手くいかないこともある
ということを伝えている気がします。二人はきっと予感はしていたのでしょう。二人は夢を叶え、結婚するという事は出来ないということに。
現実はそう甘くないことを二人は知っています。なぜならセブは夢を変え、妥協し、ミアは夢は追ってるがオーディションに受かるかわからないという状況なのですから。
だからきっと夢が叶ったら結婚は難しいとわかっていたと思います。
5年後になりましたね。
ミアの成功は目覚ましいものです。本当に頑張ったと思います。
セブの店も大繁盛しているようでとてもうれしいです。
ここで観客はセブはミアを待っていたのに結婚するなんてひどいと思う人もいるかもしれません。
しかしその考えはつまらないと思いますね。人生とはそういうものだと思います。ミアには家庭があるのにセブには無いのは不平等だと考えることも陳家で浅はかだと思います。そういう映画ではないんです。
このビターな結末がセブの演奏が織りなす二人が結婚していたらという”if”の映像をよりよくしているんだと思いますね。不完全な結末だからこそ完璧な終わりを表現していると。
とくに”if”の映像はエンパイアステートビルや今はもう見なくなった1920年代のような狂騒的華やかさがありました。
映画冒頭からですがところどころ古臭いんですよね。勿論昔のミュージカル映画を以下の比較動画からも分かるように、雨に唄えば(原題:Singin’ in the Rain)やウエスト・サイドストーリー(原題 :West Side Story)をオマージュしているという事も分かりますね。
しかしその昔への懐かしむことや憧れや、昔はよかった、クレヨンしんちゃんの大人帝国のような回帰願望もこの映画は表現していると思いますね。
やっぱりこれはアメリカでウケますよ。近年は1920年代のような精神的に余裕のある時代ではないです。そのような不安をこの映画はわずかながら、派手なミュージカル映像や懐かしいジャズで癒してくれるので、大衆や映画評論家の心を鷲掴みしていると思いますね。
このようなちょっと政治的なのは以上にして、やっぱり夢をかなえたという事実とその根性には尊敬や喜びがあり、一方で恋愛は悲しい結末であったことは純粋に悲しいですね。”if”の映像は大好きです。
最後の表情も悲しくて愛おしくて大人で本当に素敵で心打たれました。
セブの「1、2、1,2,3、」という台詞も、人生の再スタートの封切のような気がしてとっても良かったです。
さらにこの構図見覚えがありませんか?
そうセッションのラストシーンです。
監督天才かよ!!!!!!!
いやあ!本当に良い映画でした!!!
長々と読んでいただきありがとうございました!!
ラ・ラ・ランドとはロサンゼルス、主にハリウッド地域の愛称である。また、陶酔し、ハイになる状態、夢の国
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